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ISO認証機関のインターテックから厳選されたお役立ち情報をお届けします

2018.1.16発行(第7号)

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いつも大変お世話になっております。
ISO審査を通して、みなさまの事業発展のお役に立ちたい
インターテックより、ISOの運用効果パワーアップに繋がる以下の情報をお届けします。

●ISO9001の2015年版と2008年版の違い
  - 新設箇条 「第4章 組織の状況」の必要性とは?

 

本メールマガジンにてご紹介している事例や考え方等は、
あくまでも一般的な考え方や事例の1つとしてご紹介しているものであり、
審査での適合性の保証や同様の取組みの導入を推奨、強制するものではありません。

 

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ISO9001の2015年版と2008年版の違い 
新設箇条『第4章 組織の状況』のご紹介

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2015年版は “組織経営中心のQMS”に変化しています。

その変化がよく分かる一つの箇条が、新設された「第4章 組織の状況」です。

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4.1 組織及びその状況の理解

組織は、組織の目的及び戦略的な方向性に関連し、
かつ、その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、
外部及び内部の課題を明確にしなければならない。
組織は、これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し、レビューしなければならない。
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年初に社員を一堂に集めて、社長がその年の『経営戦略』を発表するという企業も多いと思います。
『経営戦略』の策定にあたっては、必ず、
・組織を取り巻く外部(「市場」・「顧客」・「競合」)
・組織内部(「自社」)等
 についての分析が必要です。
4.1はこのような分析を行い、組織を取り巻く外部及び組織内部の「課題を明確にする」
ことを要求しており、既に多くの企業で取り組まれていることと思います。

 

ここで、日本マクドナルドのケースを考えてみましょう。
同社の創業者である藤田田氏は、揺るぎないビジョンとして、
「日本人の体格向上のために食文化を変える」ことを目指して創業しています。
また、同社の株式上場時には「売上1兆円」を目指すと公言しました。
このビジョンを達成するための「指針」、「道のり」を示すことで、
組織や社員の行動に一貫性とパワーが生まれ、『経営戦略』を立てた効果が得られます。

『経営戦略』を立てるうえで、もったいないケースが、組織内部(自社)の分析のみに注力し、
組織を取り巻く外部*の分析を怠ってしまうケースです。
*組織を取り巻く外部とは:「市場」・「顧客」・「競合」等を指します。

 

例えば、世界約40カ国に店舗を擁し、売上高115億ドル(約1兆3千億円)を誇った、
「玩具店の巨人」 トイザらスの米国での破綻の背景として、
アマゾンなどのネット通販の影響で、熾烈な価格競争が起きていたことはよく知られています。
実は、見えざる競合として、「スマホゲーム」の存在も背景の一つとして、指摘されています。
スマートフォンやタブレット端末のゲームアプリで遊ぶ子供が増えるなか、
レゴの主力商品であるブロックのような「手で触れて遊ぶ玩具」自体の需要が減ってきていたのです。

 

このように、組織を取り巻く外部(顧客)の環境を分析し、
変化点を「課題」として捉えることができれば、
“「手で触れて遊ぶ玩具」自体への需要を喚起するような取り組みを考えよう”
と、次の一手となる戦略を考えることができます。
トイザらスが「外部の課題」を理解し、戦略を実行していれば、今回の破綻はなかったかもしれません。

ISOでは、「外部及び内部の課題」両方の理解を要求しています。
それは、変化の早い現代社会の課題を捉え続けることが、組織の発展に欠かせないからなのです。

 

 

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 発行:インターテック・サーティフィケーション株式会社