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ISO審査機関のインターテックから厳選された
お役立ち情報をお届けします
2018.2.9発行(第10号)
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いつも大変お世話になっております。
ISO審査を通して、みなさまの事業発展のお役に立ちたい
インターテックより、ISOの運用効果パワーアップに繋がる以下の情報をお届けします。
●ISO9001の2015年版と2008年版の違い
- 第6章「リスクと機会」へのアスクル、
ダイソー、アルペンの取り組み事例をご紹介
本メールマガジンにてご紹介している事例や考え方等は、
あくまでも一般的な考え方や事例の1つとしてご紹介しているものであり、
審査での適合性の保証や同様の取組みの導入を推奨、強制するものではありません。
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アスクル、ダイソー、アルペンに学ぶ「リスク及び機会」とは?
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「ISO9001:2015年版のリスク及び機会への取組みって何をしたらいいの?」
というお声をいただくことがあります。
2015年版の新設箇条ですので、不安に感じるかもしれませんが、ご安心ください。
以前(2018年1月9日配信のメールマガジン)にてお伝えした新設箇条「第4章 組織の状況」と同様、
第6章も特別新しく何かを始める必要は、ありません。
既に日常的に取り組まれている活動がほとんどだからです。
「リスク及び機会」について、少し身近な例を考えてみましょう。
「長生きリスク」という言葉をご存じですか?
老後に備えた蓄えを使い果たしてしまうことをいいます。
65歳まで生きた女性の半数、男性の3割近くが90歳以上生きる時代。
今後の医療の進歩を考えると、近いうちに高齢男性の4割、女性の6割が90歳以上、
100歳近くまで生きる日が来るという予測もあります。
しかし、月々20万円程度の年金と2000万円の貯金では100歳まで生きることはできません。
本来、幸せなはずの長寿が、不安の材料になってしまうことは悲しいですが、
悲観していてもはじまらないので、リスクに対する対策を考えてみます。
例えば、
「資産運用」、「年金保険」、「健康づくりの為の運動」、「病気予防のための食生活の見直し」
などが考えられます。
2015年版ISO9001の第6章にはリスクへの取組みの選択肢もいくつか挙げられています。
・リスクを回避すること
・ある機会を追求するためにそのリスクを取ること
・リスク源を除去すること
・発生可能性もしくはその影響結果を変更すること 等々。
先ほどの「長生きリスク」への対策を当てはめて考えてみますと・・・
・リスクを回避すること
→「資産運用」、「年金保険」
・発生可能性もしくはその影響結果を変更すること
→「健康づくりの為の運動」「病気予防のための食生活の見直し」
このように、リスクを特定したうえで、取り組むべき対策を決めることが
私達の老後課題への2015年版 ISO9001第6章の“リスクへの取組み”です。
建設業界であれば、「労働災害」がリスクとして考えられますし、
IT業界であれば、「長時間労働による精神疾患の発生」がリスクとして考えられます。
事務用品通販大手アスクルの最新鋭の物流倉庫で「大規模火災」が発生しました。
アスクルのリスクへの取り組みはどうなっていたのでしょうか?
アスクル社内では最低限の危機管理マニュアルが存在していましたが、
これほど大規模な火災の発生は想定の範囲を超えていました。
2011年の東日本大震災発生当時、災害リスク対応の経験はあったものの
今回の状況はまったく異なるものです。
動揺する社員にアスクルの岩田社長はこう言いました。
「私たちは加害者だ。加害者として、
今できる限りのことを全員でやらなければならない」
同時に、いかなる場面でも「地域住民の方々への対応を最優先する」
という方針を明確にし、オープンな情報開示に努める姿勢のお陰で、
アスクルに対する世間の風当りは強くならずに済みました。
アスクルの企業理念は、『お客様のために進化する』。
今回は欠品や配送でご迷惑をおかけするお客様だけでなく、
不安を与えた地域の方々への対応こそ最優先としたトップの素早い判断は、
企業理念が有事の行動指針になりました。
一連のアスクルの対応は、
「危機管理広報としては好事例」と専門家の間では評判です。
アスクルの「火災」とは逆に「放火による火災」というリスクも考えられます。
実際に、100円ショップの王者ダイソーは創業間もない頃に
放火による火事で倉庫が焼けてしまいました。
当時は今とは異なり、移動販売という業態で価格も
100円均一ではありませんでした。
しかし、9度の転職、巨額の借金という困難を乗り越え、
ようやくはじめた商売をここでたたむわけにはいかないと、
火災で焼け残った商品を何としても売ろうと決めた矢野社長。
人手不足の中、生産性を上げようとはじめたのが、
“値札の貼り付け”や“会計の計算の手間”を省いた「100円均一」という販売方法でした。
この「100円均一」という販売方法が評判を呼び、今や売上4000億を超えるまでに成長。
100円ショップダイソー誕生の背景には、「火災」というリスクへの取り組みがありました。
リスクを機会として成長した会社はダイソーだけではありません。
スポーツ用品小売り大手のアルペングループの成長の背景にもリスクがあります。
まだ15坪のスキーショップを営んでいた当時に
目玉商品(資本金相当額の商品)が盗難にあったのです。
このままでは倒産してしまうという危機を回避するため、
残っていた店内の商品を大安売りしたところ、
当時どこのスポーツ用品店も定価販売が当たり前の時代だったので、
大安売りが評判となり、店は倒産どころか大きく成長していきました。
まさに“逆転の発想”で、ピンチをチャンスに変えたのです。
リスクを予測し、マネジメントできるように第6章は存在します。
それでも想定外のリスクに直面した際には、
“逆転の発想”を忘れずに真摯に向き合うことができれば、
光が見えてくるのではないしょうか?
今回は、「第6章 リスク及び機会への取組み」のご紹介でした。
出典/参考:週刊現代 / 広報会議 / テレ東プラス / 社長名鑑
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