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ISO認証機関のインターテックから厳選されたお役立ち情報をお届けします
2018.4.20発行(第17号)
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いつも大変お世話になっております。
ISO審査を通して、みなさまの事業発展のお役に立ちたいインターテックより、
ISOの運用効果パワーアップに繋がる以下の情報をお届けします。
●イノベーション成功の鍵とは?
- ISOの推進、新商品開発など新しい取り組みに他部署を巻き込む際に
必要となるコミュニケーション力のご紹介
本メールマガジンにてご紹介している事例や考え方等は、
あくまでも一般的な考え方や事例の1つとしてご紹介しているものであり、
審査での適合性の保証や同様の取組みの導入を推奨、強制するものではありません。
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今後10年間の飛躍的な業績の向上の鍵とは?
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「働き方改革関連法案を閣議決定」など、変革・イノベーションの必要性を耳にしない日はありません。
変革に欠くことのできないもの、それは、コミュニケーション力です。
アメリカで大ベストセラーとなった、
『話す技術 聞く技術 ハーバードネゴシエーション・プロジェクト』の著書は、
“企業はこれまで、プロセス改善、技術改良、コスト削減に多くの時間を費やし、努力を行ってきた。
もうこれ以上削減できるものはほとんど残っていない。今後10年間の飛躍的な業績の向上は、
人々が対立関係をより効果的に処理することを学べるかにかかっている。
その鍵を握るのが、コミュニケーションである。”と主張します。
●コミュニケーションをISO流に分解
最初に “コミュニケーション”についてISO流にプロセスで捉え直すと次のようになります。
【インプット】 過去の経験、自分自身の常識という暗黙のルール、観察・取得した情報
【解釈】 自分なりの解釈、モノの見方・捉え方
【アウトプット】 結論として、相手に伝える言葉や行動
コミュニケーションがうまくいかない原因としては、
【インプット】【解釈】に関する情報が「見える化されていない」ことに依るケースが多いようです。
相手のプロセスがわからない為、自分と異なる【アウトプット】が生じた際に、
“コミュニケーションギャップ”が発生してしまうのです。
●コミュニケーションギャップを埋める方法-「相手に関心を持つ」
次に、さまざまな場で問題となる、コミュニケーションギャップについて考えてみます。
上司という立場であれば、
「なぜ、部下は自分の思い通りに動いてくれないのだろう?」
と不満を抱いたことがあるかもしれません。
工場で作られる製品の様に、自分と同じアウトプットを期待しているのです。
例えば、電話が鳴ってもとらない新入社員がいたらどうでしょうか?
電話をとらないという【アウトプット】を上司は不満に思うはずです。
ですが、新入社員がこのように期待外れの行動をしてもガッカリする必要はありません。
人間は、過去の経験や常識という、暗黙のルールやモノの見方・捉え方から起こる解釈について、
決して一致はしないからです。
ではこうしたコミュニケーションギャップを埋める方法はあるのでしょうか?
実は「相手に関心を持つ」ことがシンプルですが効果的な対策の一つです。
「相手に関心を持つ」、すなわち「自己の確信」から「相手への好奇心」への転換という
考え方は、コーチング、カウンセリング、交渉術等、コミュニケーションに関する
さまざまな分野でも重視されています。
●コミュニケーションギャップを埋める方法-「相手に関心を持つ」(事例)
続いてコミュニケーションギャップについて、事例で考えてみます。
電話をとらない新入社員に関心を持ってみるケースです。
ある職場で働く23歳の男性は、社会人になって9ヶ月目の今も、職場の電話が鳴るとビクッとし、
「誰か取ってくれないかな」と思い、他の人が取ってくれるとホッと胸をなで下ろすそうです。
実家の固定電話は、かけたことも受けたこともほとんどなく、
友人との連絡はもっぱらスマホのメールやコミュニケーションアプリです。
そんな彼にとって電話は怖く感じるそうです。
「誰だか分からない人と顔が見えないまま、話をするのに気おくれする。
仕事だから失礼な対応もできない。そう思うと緊張して、ますます電話を取るのが怖くなる」
こうした「今の20代の若者にとって電話は怖い存在」という【インプット】があれば、
電話をとらない新入社員に対する接し方や指導方法も変わってくるはずです。
コミュニケーションギャップでよくある事例をもう一つあげます。
「なんで相手はこんなことを考えているのか?!」
こんな疑問を持つことはいくらでもあるでしょう。
この場合はどうすればギャップが解消されるかというと、
「あの人は、こちらの知らないどんな情報を知っているのだろうか?」
「どんな受け止め方をしているのだろうか?」
と、相手の出した結論が導かれるまでのストーリーに入り込むのです。
そうすれば相手の【インプット】【解釈】を知ることができるはずです。
では、結論が導かれるまでのストーリーに入り込む流れを紹介していきます。
●とことん聴く為のスキル -「先入観をなくす」
私たちは、人の話を聴きながら、実はもうひとつの声として「自分の心の声」を聴いています。
例えば、目の前の相手が楽しそうにゴルフの話をしていたとします。
自分がゴルフに全く興味がなければ、相槌を打ちながらも、「一体ゴルフのどこが面白いんだ?」
という自分の心の声が聴こえてくるかもしれません。
こうなると話の展開はあまり期待できないはずです。
では「自分の心の声」に捉われないためには、どうすればいいのでしょうか?
ここでお勧めするのが、自分を空っぽな状態にする、すなわち「先入観をなくす」ことです。
自分の【インプット】【解釈】といった「先入観をなくす」ことで、聴くことの焦点が、
「自分」がその問題についてどう感じているかではなく、
「相手」がどう感じていて、どうしたいのか、
ということに移っていくのです。
コミュニケーションというと、「どう伝えるか」といった発信の手法を考えがちです。
ですが、まずは自分の「先入観をなくし」、相手の【インプット】【解釈】に焦点を
当てることを考えてみてください。もちろん、この「先入観をなくす」という姿勢は、
プロのカウンセラーでも大変難しいと言われており、すぐに完璧にやるのは大変かもしれません。
まずは心がけるといった程度からはじめればいいと思います。
●指示待ち社員を減らすコミュニケーション
ご紹介した、「相手に関心を持つ」ことと「自分の先入観をなくす」ことは、相手を主役にしています。
この考え方はコミュニケーションの活用を考える際に大変重要になってきます。
では、身近の例として職場におけるコミュニケーションの活用方法を紹介させていただきます。
職場では日々問題が発生しているはずです。
次々とやってくる問題への対応においては、上司の判断・指示だけでなく、
部下の意思が加わった方がはるかに効率的なケースが多いはずです。
例えば、あなたが上司で、部下が発生した問題への対応方法について相談を持ちかけてきた場合、
どう向き合えばいいでしょうか?解決策をすぐに提示するのではなく、
「あなたはどうしたいのか?」と問いかけ、自分の頭で考える習慣をつけてもらうことが大切でしょう。
この習慣は、箱根駅伝4連覇を達成した青山学院大学の強さの秘密として原監督が紹介し話題にもなりました。
相談された際、「どうせ何も考えていないのだろう」といった先入観を持っていると、
その感覚は相手に伝わります。結果は自ずと知れているはずです。
ここでは相手の可能性(未来)を心から信じる姿勢が何よりも大切になってきます。
部下とのコミュニケーションでは、「可能性(未来)を心から信じ」、「相手に関心を持ち」、
「自分の先入観をなくす」ことで、彼らの考えをうまく引き出して、
主体的な動きにつなげていってみてはいかがでしょうか。
そもそも人間は自己表現の欲求があり、自分の可能性を信じて期待してもらえると、
ますます自己表現したくなっていくのです。
部下が主体的に考えて動くような職場になればしめたものです。
組織としてのパフォーマンスの改善は大いに期待できるはずです。
●ISOの推進、新商品開発など新しい取り組みに活かす
今回、コミュニケーションについて簡単にまとめました。
ISOでも、リーダーシップ、内部コミュニケーション、外部コミュニケーション等、
多くの場面でコミュニケーションという表現がみられ、重要な要素の一つになっています。
ISOの推進にはもちろん、組織で新たなことにチャレンジする場合、
例えば新商品の開発等の新しい取り組みを始める際は、意見が対立することも多々あるはずです。
あるいは組織において同僚間、上司と部下、あるいは部門間で意見が
一致しないのはごく当たり前のことです。
こうしたさまざまな関係でコミュニケーション力が重要になってきます。
相手の主張の背景を“好奇心を持って聴いてみる”ことで、<対立>から<共創>に変わっていきます。
その結果として、“今後10年間の飛躍的な業績の向上”につながる、かもしれないのです。
尚、コミュニケーションに関しては多くの考え方、手法が存在します。
今回ご紹介した内容はあくまでも一つの例としてお考えいただければと思います。
参考:
・『コーチングの手法と実践がよ~くわかる本』
谷口 祥子(著).秀和システム(出版)
・『話す技術 聞く技術 ハーバードネゴシエーション・プロジェクト』
ダグラス・ストーン、ブルース・パットン、他 (著).日本経済新聞出版社(出版)
・東京新聞
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発行:インターテック・サーティフィケーション株式会社