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ISO認証機関のインターテックから厳選されたお役立ち情報をお届けします

2018.5.30発行(第21号)

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いつも大変お世話になっております。
今号では、以下の情報をお届けします。

■お客様からのお声に対する回答
-「ISO事務局新任担当者様に向けてのアドバイス」
 「内部監査員の評価の仕方」のご紹介

 

本メールマガジンにてご紹介している事例や考え方等は、
あくまでも一般的な考え方や事例の1つとしてご紹介しているものであり、
審査での適合性の保証や同様の取組みの導入を推奨、強制するものではありません。

 

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ISO事務局新任担当者様に向けてのアドバイス

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今号では、最近いただきましたお客様からのお声に対しまして、回答をさせていただきます。

まず、「ISO事務局新任担当者様に向けてのアドバイス」、
「内部監査員の評価の仕方」を教えて欲しいというお声をいただきました。

そこで、

・ISO規格・マネジメントシステムの基礎知識
・ISOマネジメントシステムの導入メリットと課題
・審査の考え方について(特に不適合について)
・内部監査員の評価の仕方
・その他のご質問

などISO規格・マネジメントシステムの概要と審査において皆様が
気になると思われる事項について概観してみたいと思います。
既にご存じのこともあるかと思いますが、今後の教育などにお使いいただけたら幸いです。

 

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ISOの基礎知識

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ISOとは、
非政府機関 International Organization for Standardization(国際標準化機構)の略称です。
ISOの主な活動は国際的に通用する規格を制定することであり、
ISOが制定した規格をISO規格といいます。
ISO規格は、国際的な取引をスムーズにするために、何らかの製品やサービスに関して
「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」
という国際的な基準です。
身近な例として、非常口のマークやネジといった、製品そのものを対象とする、
「モノの規格」ISO規格が挙げられます。

一方、製品そのものではなく、組織の活動を”管理するための仕組み
(マネジメントシステム)”についても国際的な基準としてのISO規格もあります。
これらをISOマネジメントシステム規格と呼びますが、代表的なものには、

ISO9001(品質)
ISO14001(環境)
ISO22000(食品安全)
ISO27001(情報セキュリティー)

などがあります。

管理すべき対象は異なりますが、特徴の一部を紹介すると以下のようになります。

【特徴1】誰でもできるように力量を担保する為の教育を重視
仕事のやり方は、ベテランの頭の中にある状態では、その人しか成果を出せません。
誰でもわかる形で教えられるべきと考えます。
日本では、「門前小僧習わぬ経を読む」ということわざがありますが、ISO規格では
「習わぬ経は読めぬ人もいるだろう。だから、経の読み方は教えるべき」と考えます。

【特徴2】
更に仕事のやり方が良いかどうか、その良し悪しを「確認する」ことを求めています。
良し悪しという結果を確認することが目的なのではなく、
良い結果を得るために「改善すべき点」を見つけ、レベルアップすることが目的となります。

 

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ISOの導入メリットと課題

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例えば、あるお客様は、こんなメリットを感じられています。

「ISO9001の認証を取得し、業務の標準化・マニュアル化を進めたことにより、
企業体質の改善・社内組織の整備が進み、これからの時代のニーズに応え、
かつ飛躍していくために社員一人一人が向上心を持てた」

「”お客様に満足される品質を提供し、信頼を獲得する”を念頭に全社員が一丸となって邁進している」

「最近、若手が増えてきたので、社員教育も兼ねて社員全員のベクトルを一致させたいと思って
ISOマネジメントシステムを導入した。導入した結果、社員が“顧客満足”を第一に
考えられるようになった。“一体感も出てきた”」

「ISOマネジメントシステムを導入してから仕事の質が高まり、
取引先から信頼されるようになり、結果としてリピート発注が増えた」

上記は一例ですが、主なメリットとして3つを紹介します。

 

<ISOマネジメントシステムの導入メリット①:リスクの低減>

例えば、ISO9001では「品質リスク」を減らすことができます。
品質の悪い商品・サービスを利用した顧客は二度と利用してくれませんので、
「顧客満足度の向上」と「不良品を作ってしまう」という“ムダなコスト”を削減できます。
企業のイメージアップ、ブランド力アップにも繋がります。

 

<メリット②:業務効率の向上>

ISOマネジメントシステムの特徴の1つが「仕事のやり方を見える化する」ことです。
(プロセスアプローチとも言います)
例えば、あなたが「目玉焼き」が食べたいので、作ろうとする場合、どうされますか?
まず、キッチンに行き、鍋と卵がないか確認し、卵がなければ買いに行くでしょう。
これがインプットです。

次に卵を割り、塩を振って味をつける作業をし、鍋に火をつけ適度な火力で卵を焼きます。
これが業務プロセスです。

そして出来上がった卵焼きが成果(アウトプット)となります。
これらの一連の過程を見える化することで、自分が何を、どうすべきかが明確になります。
そして、良いアウトプットを生み出す為にどこに注意すべきなのか?も同時に分かります。
料理に慣れていない人は、塩を入れ過ぎて塩辛い味になってしまうことがあります。
では塩の分量をきちんと決めておこう。などと改善されていき、
「早く・安く・良い成果」を生み出すための「やり方」を決め(標準化ともいいます)
ノウハウとして蓄積していくことができます。
こうすることで、誰が作っても同じ品質の卵焼きができるベースができるのです。

会社では、製品を作るなど<製品実現プロセス>以外にも工程を支援する
<支援プロセス>、全体を管理する<管理プロセス>などがあります。

 

参考:製造プロセスのダイアグラム図

 

 

こういった「見える化」は、一から取り組む際には、面倒だと感じる方も多いですが、
もし今の担当者が辞めてしまったら、そのノウハウごと会社から失われてしまいます。
「担当者がやめた」、「職人が高齢でやめてしまう」といった場合に起る問題を未然に防ぐ意味でも、
「見える化」は必要です。

「見える化」の手法は、色々と応用できます。
個人が抱えていた仕事量を見える化し、繁忙期の業務量を平準化し、
組織全体の残業時間を減らすことに成功している組織もあります。

あるIT会社では、お互いの仕事の内容だけではなく、
「個人の気分」を「見える化」し、体調不良等で気分の良くない社員のフォローをする
といった取り組みがされています。

ISO規格では仕事量や個人の気分の見える化は要求していませんが、
組織は他者との関りなしには仕事はできません。
ISOマネジメントシステムの準備で使用した「見える化」の手法を少し
拡張することで他の人がどのような仕事を抱えているのかが見えるようになります。
自分の仕事との関連性や影響が理解でき、「後工程に不良を流さないようにしよう」
などと意識が向上することも多いようです。

 

<メリット③:組織全体のレベルアップ>

PDCAサイクルを回して常に改善、成長する仕組みがISOマネジメントシステムですので、
目標を高く設定し取り組むことで、自然と組織は成長していくことができます。

また、目標達成の為には、良好なコミュニケーションができる「人間関係作り」が大切です。
あるIT会社では、お互いの仕事の内容を見える化する為の情報共有がキッカケで
コミュニケーションが活発になり、社員からアイディアが出るようになり、
製品・サービス開発にも良い影響が出ているそうです。

コミュニケーションには悪い報告がなされることも含まれます。
ISO規格は、何か問題があった場合でもその問題を個人の能力のせいにしません。
組織の仕組みとして個人を罰するのではなく、「仕組みの改善」のキッカケと考えます。
そのような考え方に基づき、問題が起こってもそれを隠すのではなく、
より良い仕事の仕方に繋げるという前向きな風土が形成できるかもしれません。

そしてISO規格では、経営者層(マネジメント層)がISOマネジメントシステムで
どんなメリットを自分達の組織にもたらすのかを自分自身で説明すること
を求めています。
「ISO事務局担当者のみ」に運用を任せられるということはありません。
自分達の組織が長く存続し、繁栄する為に役立つように運用してください。

例えば、ISO規格の箇条に沿ってマニュアルを作るのではなく、日常の業務の流れをまとめて、
ISO規格との関連性を紐づけるといったやり方の方が他の従業員の方の理解も得やすいと思います。

マネジメントレビューなどもISOマネジメントシステム活動として特別に取り組むのではなく、
マネジメント層の「会議の議題の1つ」として取り上げていただくこともできます。

 

<課題:ISO規格自体が理解しにくい>

ISO規格の用語がわかりににくく、抽象的である為、
具体的に自社に置きかえることが難しいという点が課題になります。

弊社主催の審査員コースでは、ISO規格の本質的な理解を目指して丁寧な解説を心がけています。
ISO規格へのアレルギーを感じる方、新任担当者に自信を持ってお薦めできます。
例えば、「ISO9001:2015審査員コース」では、 下記の様なカリキュラムをご用意しています。
5日間じっくりかけてISO規格とは何なのか?不適合になる基準は何なのか?という疑問を
解消いただけると思います。

1日目:規格要求事項解説、品質方針・目標
2日目:ISO19011に基づいた監査プロセス・計画・技術、チェックリスト
3日目:不適合報告書、面談
4日目:監査報告・記録、フォローアップ活動、是正処置、継続的改善
5日目:グループワーク事例研究、最終試験など

上記日程で、ケーススタディー、グループワークを通して実践的に学びます。
セミナー詳細は、https://ba.intertek-jpn.com/study/よりご覧ください。

 

●審査の考え方について(特に不適合について)

審査の頻度:サーベイランス(維持)審査(年1回)、再認証審査(3年に1回)

ある審査員は「不適合が出されることをあまり怖がらないで欲しい。
審査は<気づき>や<改善のキッカケ>の過程なので、
ISOの活動目標は不適合を審査で出されないことではなく、
改善の成果で<組織が良くなる>ことを目標にして欲しい」と言います。

ISOマネジメントシステムの審査だと特別に構えることなく、
日頃の活動をそのまま見せていただければと思います。

「日頃社内では言いにくいことを審査員に伝え、審査員から問題提起させてもいいんだよ」と言う審査員もいます。
重要性は高いけれど、緊急性の低い課題というのは、なかなか手をつけるタイミングが難しいものです。
ISOマネジメントシステムの審査がそのキッカケとなり、組織の更なる発展に貢献できればと考えています。

 

●内部監査員の評価の仕方

内部監査員の力量の評価方法自体はISO規格では定められていません。
ある組織では、コンサルタントの研修を受けた人は力量があると考えている場合もありますし、
弊社の様な審査機関の教育を受講したら力量があると考える組織もあります。

1つ考え方のヒントとして、内部監査の結果、「成果(気づき)があったかどうか」?
とお考えいただくのはいかがでしょうか?

ISO担当者のお悩みの1つに内部監査がマンネリ化してしまう・・・
という声を耳にすることもあります。
こういったお悩みをお持ちの場合、
・毎回、同じ内容をYES、NO形式等でチェックしている
かもしれません。ISOマネジメントシステムの審査も同様ですが、

まずは「仕組みがあるかどうか」?
次に仕組みが「機能しているかどうか」?
次に仕組みが「有効に機能しているか」?

と、どんどん監査すべき内容は変わっていきます。
導入直後は、まずは仕組みがあるかどうかをYES、NO形式等でチェックするといった内部監査で
良いと思いますが、その次の内部監査においては、仕組みと実際の作業が合っているかどうかを
5W1H形式で質問していくと、毎回の内部監査で必ず<気づき>があるハズです。

ご参考)監査のための規格もあります。
ISO19011 – マネジメントシステム監査のための指針

以上、簡単ですが、ISOマネジメントシステムの導入から運用までを概観しました。

これからは、アンケートにて寄せられましたご質問に一部でありますが回答させていただきます。

 

 

本メールマガジンにてご紹介している事例等は、あくまでも参考事例としてご紹介しているものであり、
同様の取り組みの導入を推奨、強制するものではありません。

 

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■下記よりアクセスください■
https://ba.intertek-jpn.com/study/

 

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<お客様事例等は以下にアクセスください>
リンクアドレス:https://www.fb.com/IntertekCertification

 

 

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発行:インターテック・サーティフィケーション株式会社