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ISO認証機関のインターテックから厳選されたお役立ち情報をお届けします

2019.6.28発行(第36号)

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いつも大変お世話になっております。
今号では、以下の情報をお届けします。

【紹介】バーゼル条約の改正と今後の動向
【紹介】SDGsと各ISOマネジメントシステム規格などとの関連について
【紹介】ISO14001を活用したSDGs(持続可能な開発目標)セミナー
【お知らせ】メールマガジン休刊について
 など

本メールマガジンにてご紹介している事例や考え方等は、
あくまでも一般的な考え方や事例の一つとしてご紹介しているものであり、
審査での適合性の保証や同様の取組みの導入を推奨、強制するものではありません。

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【紹介】
バーゼル条約の改正と今後の動向

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2019年5月10日に日本とノルウェーなどが中心となって提案した
「バーゼル条約」の改正案が採択されました。
ごみの分別をはじめとして多くの組織において環境に関する取組みがなされており、
今回の条約改正は外部環境の重大な変化の一つといえます。
バーゼル条約の改正概要やバーゼル条約について
改めて理解を深めていただけるような情報をご紹介致します。

【バーゼル条約とは?】

正式名称:
「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」

条約採択の経緯:
1980年代に多発した有害廃棄物の越境移動をめぐる事件を契機として、
UNEP(国連環境計画)が中心となり有害廃棄物越境移動の国際的なルールとして
1989年に条約として採択、1992年に発効。
日本では、1993年(平成5年)に同条約を締結し、本条約の国内担保法である
「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」を施行。

目的:
有害廃棄物及び他の廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制について、
国際的な枠組みを定め、これらの廃棄物によってもたらされる危険から
人の健康及び環境を保護する。

概要:
– 有害廃棄物の国内処理の原則・越境移動の最小化
– 輸出に先立つ事前通告・同意取得の義務
– 移動書類の携帯(移動開始から処分まで)
– 不法取引が行われた際の輸出者の国内引き取り義務(再輸入、処分等)

【バーゼル条約改正の背景】
日本をはじめとした先進国では国内で処理しきれないプラスチックごみを
“リサイクル資源”として途上国などに輸出しています。
しかし、近年、プラスチックごみへの風当たりは強くなっています。
2017年に最大の受入れ国だった中国が生活由来のプラスチックごみの輸入を
禁止したことに端を発し、輸入規制や、
海洋に広がるマイクロプラスチックごみ問題がクローズアップされ、
各国でプラスチックの使用を削減していこうという機運が高まっています。
こうした動きを受け、生分解性プラスチックや紙資源などの代替資源などが
改めて脚光を浴びています。
今回のバーゼル条約改正は、こうした状況に対応するものといえそうです。

【バーゼル条約改正の概要】
同条約の附属書を改正し、汚れたプラスチックごみを条約の規制対象と
することが決定しました。
具体的には、バーゼル条約の対象となる廃棄物の判断基準や
範囲を示す附属書II・VIII・IXの見直しに関する議論がなされ、
それぞれ以下の通りの決定がなされました。
この改正附属書は2021年(令和3年)1月1日から発効されます。

尚、今回の附属書の改正は、「汚れたプラスチックごみ」の輸出を禁止するものでは
ありません。附属書改正の発効以降は、汚れたプラスチックごみの輸出に当たって、
輸出の相手国の同意が必要となります。

 

 

 

 

【バーゼル法規制対象物の具体例】
<原則規制対象のもの>
・バーゼル条約附属書Ⅰかつ附属書Ⅲに該当するもので、具体的には附属書Ⅷに該当するものが対象。
・バーゼル法では、特定有害廃棄物等省令別表第4~6に該当するものが対象。
鉛蓄電池(リストA1160)
廃油(A3020)
シュレッダーダスト(A3120)
医薬品(A4010)、医療廃棄物(A4020)

<原則規制対象外>*今回の改正での変更予定箇所:赤下線太字
・バーゼル条約附属書Ⅸに該当するもの
・バーゼル法では、特定有害廃棄物等省令別表第2または3に該当するもの
鉄くず(スチールスクラップ)(B1010)
廃プラスチック(PVCを除く) (B3010)
紙くず(B3020)
繊維くず(B3030)
ゴムくず(B3040)

また、法制定から約25年が経過し、近年、循環資源の国際的な取引の増大に伴い、
輸出では、鉛などの有害物質を含む電気電子機器などのスクラップ、
いわゆる雑品スクラップの不適正な輸出や輸出先国から日本へ返送を求める通報が増加しているほか、
輸出先国における特定有害廃棄物等の不適正処理事案が発生しています。
また、輸入では、循環資源の国際的な獲得競争が激化する中、
競争上不利な事業環境を解消することが重要な課題となっています。こうした課題に対応するため、
2018年6月バーゼル法の改正が行われました。

【今後の動向】
条約改正で、リサイクルに適さないプラスチックごみは条約が定める有害廃棄物に指定され、
条約の相手国の同意なしの輸出は禁止となりましたので、
締約国はプラスチックごみ発生を最小限に抑え、可能な限り国内で処分することを求められます。
これにより、国内のリサイクル産業が活性化されることが予想されます。
また、国連の推計によれば、世界の海にはすでに1億トンものプラスチックごみが
流出しています。危機的な状況にあるプラスチック汚染を世界全体で食い止めるうえで、
今回のような措置を義務づけることは大きな前進になるものと期待されています。

出典/参考:経済産業省・環境省 『バーゼル法等説明会PART1 』 /
経済産業省 『バーゼル条約・バーゼル法』 /
経済産業省『バーゼル条約第14回締約国会議(COP14)が開催されました』

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【紹介】
SDGsと各ISOマネジメントシステム規格などとの関連について

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2019年5月20日に「日本の製造業、人権・環境重視に OECD指針受け厳しく 」という
見出しで電機や精密機器など日本の製造業が、原料や部品の調達先や取引先を含む
サプライチェーン全体で人権、良好な労働、環境を守る体制づくりに乗り出したことが
日本経済新聞にて報じられました。
このように、近年、組織・企業側に、”持続可能性”のある長期的な視野に立った
取組みを求める動きが高まっています。
これまでも外部環境の変化の一つである「SDGs」についてご紹介してきましたが、今号では、
「SDGsと各ISOマネジメントシステム規格などとの関連について」まとめました。

【SDGsとは】
SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された
「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。
持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されています。

[SDGsに関する日本国内の主な動き]
・2015年 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
がESG(*注1)の視点を反映させる国連責任投資原則(PRI)に署名
・2016年 SDGs推進本部の設置「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」策定
「SDGsステークホルダーズ・ミーティング」開始
・2017年 ISO20400発行(Sustainable procurement – Guidance 持続可能な調達)
経団連「企業行動憲章」にSDGsの理念を取り入れ改定
「ジャパンSDGsアワード」制度開始
GPIFはESG指針を選定し、1兆円程度の規模のESG投資を開始
・2018年 環境省策定の「第五次環境基本計画」が閣議決定され、
SDGsの考え方の活用が明記された。

*注1 「ESG」とは:
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の三つの言葉の頭文字をとったもの

以下は、弊社にて考案したひとつの事例ですので、
皆様の会社の製品・活動・サービス、運⽤されているマネジメントシステムでは、
さらに該当するものもあると思います。
皆様の日ごろのISO活動がどのような課題解決に繋がっているのかを、
少し視点を変えて考えていただく機会となれば、幸いです。

※以下は、弊社にて考案した事例です。色々な見方、考え方がありますので、
あくまでも、一例としてお考えください。以上、ご了解の上で、ご参照ください。

 

 

1.貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
■CSR(社会的責任)監査
■RSPO認証(持続可能なパーム油)

2.飢餓をゼロに
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、
持続可能な農業を推進する
■ISO22000/FSSC22000(食品安全)
■GAP認証(農場管理)
■MSC認証(天然水産物)
■ASC認証(養殖水産物)

3.すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
■ISO39001(道路交通安全)
■ISO45001(労働安全衛生)
■CSR(社会的責任)監査

4.質の高い教育をみんなに
すべての人々に包括的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
■ISO9001(品質)
■ISO14001(環境)
■ISO27001(情報セキュリティ)
■ISO45001(労働安全衛生)

5.ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダーの平等を達成し、すべての
女性と女児のエンパワーメントを図る
■CSR(社会的責任)監査

6.安全な水とトイレを世界中に
すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
■ISO14001(環境)
■FSC (R) 認証(森林)

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
■ISO14001(環境)
■GHG排出量検証(温室効果ガス)

8.働きがいも経済成長も
すべての人々のための持続的、包括的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全
雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する
■ISO9001(品質)
■ISO39001(道路交通安全)
■ISO45001(労働安全衛生)
■CSR(社会的責任)監査

9.産業と技術革新の基盤をつくろう
強靭なインフラを整備し、包括的で持続可能な産業化を促進するとともに、
技術革新の拡大を図る
■ISO9001(品質)
■ISO13485(医療機器)
■ISO22301(事業継続)
■ISO27001(情報セキュリティ)
■ISO39001(道路交通安全)
■IATF16949(⾃動⾞産業)
■AS/EN/JISQ9100(航空宇宙産業)
■JISマーク表示制度(工業/産業)

10.人や国の不平等をなくそう
国内および国家間の格差を是正する
■ISO37001(贈収賄防止)
■ISO45001(労働安全衛生)
■CSR(社会的責任)監査

11.住み続けられるまちづくりを
都市と人間の居住地を包括的、安全、
強靭かつ持続可能にする
■ISO14001(環境)
■ISO39001(道路交通安全)
■GHG排出量検証(温室効果ガス)

12.つくる責任 つかう責任
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
■ISO9001(品質)
■ISO14001(環境)
■ISO13485(医療機器)
■ISO22000/FSSC22000(食品安全)
■IATF16949(⾃動⾞産業)
■AS/EN/JISQ9100(航空宇宙産業)
■GAP認証(農場管理)
■FSC(R) 認証(森林)
■MSC認証(天然水産物)
■ASC認証(養殖水産物)
■RSPO認証(持続可能なパーム油)
■GHG排出量検証(温室効果ガス)
■JISマーク表示制度(工業/産業)

13.気候変動に具体的な対策を
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
■ISO14001(環境)
■FSC(R) 認証(森林)
■RSPO認証(持続可能なパーム油)
■GHG排出量検証(温室効果ガス)

14.海の豊かさを守ろう
海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
■ISO14001(環境)
■ISO22000/FSSC22000(食品安全)
■MSC認証(天然水産物)
■ASC認証(養殖水産物)

15.陸の豊かさも守ろう
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の促進、森林の持続可能な管理、
砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
■ISO14001(環境)
■ISO22000/FSSC22000(食品安全)
■FSC(R) 認証(森林)
■RSPO認証(持続可能なパーム油)
■GHG排出量検証(温室効果ガス)

16.平和と公正をすべての人に
持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、
すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、
あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
■ISO37001(贈収賄防止)
■CSR(社会的責任)監査

17.パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを
活性化する
■CSR(社会的責任)監査

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【紹介】
ISO14001を活用したSDGs(持続可能な開発目標)セミナー

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2015年以降、パリ協定・SDGsの採択、そしてESG投資の拡大など
企業を取り巻く情勢が急激に変化しています。
これらの変化への対応如何によって、企業は経営リスクを被る可能性もありますが、
逆にビジネスチャンスとして捉え企業価値の向上につなげることも
可能な時代となりました。
本セミナーでは、SDGs各目標に起因するリスクと機会について解説したのち、
ISO14001を活用したSDGsへの対応について解説します。
そして、自社の事業活動とSDGs各目標との関連を容易に紐付けできる
「SDGsマッピング・テンプレート」を用いたミニワークショップも行います。

【内容】
1.サステナビリティに関するこれまでの国際的な取組み
2.パリ協定/SDGsとリスク及び機会
3.ISO14001を活用したSDGsへの対応
4.「SDGsマッピング・テンプレート」を用いたミニワークショップ

【お申込み】
【コチラ】からご確認、お申込みいただけます。
皆様のご参加をお待ちしております。

【開催日程】

研修全般のページアドレス:https://ba.intertek-jpn.com/study/

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▼ 弊社お客様のISOマネジメントシステム活用事例をご紹介しています

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弊社お客様のISOマネジメントシステムの活用事例や
研修(セミナー)の開催風景などをFacebookにてご紹介しています。

<お客様事例等は以下にアクセスください>
リンクアドレス:https://www.fb.com/IntertekCertification

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【お知らせ】
メールマガジン休刊について

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誠に勝手ながら、お客様に更に満足いただけるサービス検討の為、
本号をもってメールマガジンは一時休刊とさせていただくことになりました。
これまでのご愛読ありがとうございました。
尚、バックナンバーの閲覧は引き続きご利用いただけます。

 

 

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