カーボンフットプリント削減の具体的な方法とは?企業のメリットや事例を解説

2025/11/28サステナビリティ

近年、企業の環境への取り組みがますます重要視される中、「カーボンフットプリント」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。しかし、その意味や具体的な削減方法について、詳しく理解できている方はまだ少ないかもしれません。本記事では、カーボンフットプリントの基礎知識から、企業が取り組むべき具体的な削減方法、成功事例までを分かりやすく解説します。

【関連】 カーボンフットプリント(CFP)とは?企業の取組事例や算定方法を解説!

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【5ステップ】カーボンフットプリント削減の進め方

CFPの算定ができたら、次はいよいよ具体的な削減活動に移ります。ここでは、実務的な進め方を5つのステップに分けて解説します。

カーボンフットプリント削減の進め方

ステップ1:現状把握と排出量の算定

最初のステップは、算定対象とする製品やサービスのライフサイクル全体を洗い出し、各プロセスにおける排出量の正確な算定です。どのプロセスが排出量のホットスポット(排出量が特に多い箇所)になっているかを特定することが、このステップの最も重要な目的です。

ステップ2:削減目標の明確化

現状を把握できたら、次に具体的な削減目標を設定します。例えば、「2030年までに製品AのCFPを20%削減する」といった、具体的で測定可能な目標を立てることが重要です。

ステップ3:具体的な削減計画の策定

設定した目標を達成するための、具体的なアクションプランを策定します。例えば、「再生可能エネルギー由来の電力への切り替え」「エネルギー効率の高い設備への更新」「リサイクル材の利用率向上」「物流ルートの見直し」など、ステップ1で特定したホットスポットに対して有効な施策を検討します。

ステップ4:サプライチェーン全体での実行

CFP削減、特にScope3の削減は、自社だけの努力では達成できません。原材料のサプライヤーや製品の配送を担う物流パートナーなど、サプライチェーンに関わるすべての事業者と協力し、連携して削減に取り組むことが不可欠です。 サプライヤーに対して環境への取り組みに関する情報提供を求めたり、共同で削減プロジェクトを立ち上げたりすることが有効です。

ステップ5:定期的な見直しと情報開示

一度計画を実行したら終わりではありません。定期的に進捗状況をモニタリングし、排出量の再算定を行い、計画の効果を評価します。目標達成が難しい場合は、計画の見直しや追加施策の検討が必要です。また、これらの取り組みの結果は、サステナビリティレポートやウェブサイトなどを通じてステークホルダーに積極的に開示し、透明性を確保することが信頼の獲得に繋がります。

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カーボンフットプリントの算定・見える化について

効果的な削減策を講じるためには、まず自社の製品やサービスがどれだけの温室効果ガスを排出しているのかを正確に把握(見える化)する必要があります。

Scope1・2・3とは?排出量の区分

企業の温室効果ガス排出量は、その発生源によって3つの「スコープ」に分類されます。

Scope1(スコープ1)
事業者自らによる直接排出。
例えば、自社の工場で燃料を燃焼させたり、社用車を走行させたりすることで発生する排出。
Scope2(スコープ2)
他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出。
オフィスや工場で使用する電力がこれに該当。
Scope3(スコープ3)
Scope1、2以外の、サプライチェーン全体におけるその他の間接排出。
原材料の調達、製品の輸送、従業員の通勤、製品の使用・廃棄など、多岐にわたる活動が含まれる。
多くの業種で、このScope3が総排出量の大部分を占めると言われる。

ライフサイクルアセスメント(LCA)の考え方

CFPの算定は、「ライフサイクルアセスメント(LCA)」という手法に基づいて行われます。これは、製品やサービスの一生(ゆりかごから墓場まで)における各段階での環境への影響を、科学的かつ定量的に評価する手法です。 このLCAの考え方を用いることで、どのプロセスで特に排出量が多いのかを特定し、効果的な削減ポイントを見つけ出すことができます。

排出量の計算方法

CFPの基本的な計算式は、非常にシンプルです。各プロセスにおける排出量は、以下の式で算出されます。

温室効果ガス排出量 = 活動量 × 排出係数

「活動量」とは、例えば使用した電力量(kWh)や輸送距離(km)、購入した原材料の重量(t)などを指します。「排出係数」は、その活動量あたりの排出量を示す係数で、環境省などが公表しているデータを利用します。これらの計算をライフサイクル全体にわたって行い、すべてを合計したものが、その製品のCFPとなります。

【関連記事】 GHGとは?Scope1,2,3や種類と算定方法までわかりやすく解説

企業がカーボンフットプリント削減に取り組む4つのメリット

CFP削減は、環境貢献という側面だけでなく、企業経営においても多くのメリットをもたらします。ここでは、代表的な4つのメリットについて解説します。

企業がカーボンフットプリント削減に取り組む4つのメリット

メリット1:企業価値やブランドイメージの向上

環境問題への取り組みを積極的にアピールすることは、企業のブランドイメージ向上に直結します。環境意識の高い消費者からの支持を得やすくなるだけでなく、サステナブルな経営姿勢を示すことで、社会的な信頼性を高めることができます。 結果として、製品やサービスの競争力強化にも繋がると考えられます。

メリット2:光熱費などのコスト削減

CFP削減のプロセスでは、エネルギーの使用効率を見直すことが不可欠です。生産工程の改善や省エネルギー設備の導入、再生可能エネルギーへの転換などを進めることで、結果的に電気代や燃料費といったコストの大幅な削減が期待できます。エネルギー価格が高騰する現代において、このメリットは経営の安定化に大きく寄与します。

取り組み 期待されるコスト削減効果
省エネルギー設備の導入 工場やオフィスの消費電力を削減し、電気料金を低減
再生可能エネルギーの活用 自家消費型の太陽光発電などで、電力会社からの購入量の減少させる
製造プロセスの見直し 無駄なエネルギー消費をなくし、生産効率を高め、燃料費を削減する
物流の効率化 輸送ルートの最適化による、ガソリン代などの輸送コストの削減

メリット3:投資家からのESG評価向上

近年、投資家は企業の財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みを重視する「ESG投資」を拡大しています。CFPの算定・開示や削減努力は、E(環境)の評価を高める重要な要素とされます。高いESG評価を得ることで、新たな資金調達の機会が広がり、企業の中長期的な成長基盤を強化することができます。

メリット4:新しいビジネスチャンスの創出

CFP削減の取り組みは、新たな技術開発やイノベーションを促進します。例えば、環境負荷の低い新素材の開発や、リサイクルしやすい製品設計、省エネ性能の高い製品の提供などは、新たな市場を開拓するチャンスとなります。また、サプライチェーン全体で脱炭素化を進める中で、環境コンサルティングのような新しいサービスを展開できる可能性もあります。

カーボンフットプリント削減の取り組み事例

実際にCFP削減に取り組み、成果を上げている企業の事例をご紹介します。自社の取り組みの参考にしてください。

【アパレル】Allbirds合同会社の事例

自然由来の素材にこだわるアパレルブランドのAllbirdsは、2020年にファッション業界で初めて全製品へのカーボンフットプリント表示を開始しました。製品の素材にはサトウキビやリサイクル素材を積極的に活用し、製品設計の段階から環境負荷の低減を重視しています。これにより、シューズのCFPを1年間で10%以上削減することに成功しています。

【参考】 Allbirds Announces 22% Reduction To Per Product Carbon Footprint In Annual Sustainability Report

【化粧品】株式会社コーセーの事例

化粧品メーカーのコーセーは、製品のライフサイクル全体でのCO2排出量を数値化し、具体的な削減計画を立てています。例えば、主力製品である「雪肌精シリーズ」では、詰め替え用のレフィル容器を用意することで、通常のボトル容器と比較してCO2排出量を大幅に削減しました。具体的には、「調達」段階で40%、「廃棄・リサイクル」段階では85%ものCO2が削減されています。

【参考】 20230305脱炭素経営フォーラム発表資料

【小売】株式会社ユナイテッドアローズの事例

セレクトショップを運営するユナイテッドアローズは、製品のCFPを算定・公表することで、サプライチェーン全体のCO2排出量削減を推進しています。Scope3において2030年までに15%削減するという目標を掲げ、環境配慮型素材の使用拡大や、取引先工場への再生可能エネルギー導入支援などに取り組んでいます。

【参考】 統合レポート2024

まとめ

本記事では、カーボンフットプリントの基礎知識から、企業が削減に取り組むメリット、具体的な算定・削減方法、そして先進的な企業の事例までを解説しました。CFP削減は、もはや単なる環境活動ではなく、企業価値を左右する重要な経営課題です。この記事を参考に、ぜひ自社のカーボンフットプリント削減への第一歩を踏み出してください。

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また詳細は、 GHG排出量検証/CFP(カーボンフットプリント)/LCA(ライフサイクルアセスメント)検証 をご参照ください。