リサイクルやオーガニック認証の違いは?GRS・GOTS・BCI認証など各種認証を解説!

2025/11/28サステナビリティ

「サステナブルな製品開発を進めたいが、GRS、GOTS、BCIなど認証が多すぎて違いがわからない」「自社のブランドにはどの認証が最適なのか判断できない」 このような悩みを抱えるアパレル・繊維業界の担当者様は少なくありません。
消費者の環境意識が高まる中、信頼性のある第三者認証の取得は、企業の価値を証明し、競合と差別化するための重要な経営戦略となっています。
本記事では、複雑なテキスタイル関連のサステナブル認証について、それぞれの目的や基準の違いを専門家の視点から徹底的に比較・解説します。この記事を読めば、貴社の目的と戦略に最適な認証が明確になり、取得に向けた具体的な第一歩を踏み出せるようになります。
リサイクル原材料を使用した製品には、GRSやRCS認証などの国際的なリサイクル認証が、オーガニック原材料を使用した製品には、GOTS認証やOCS認証などの国際的なオーガニック認証が効果的です。インターテック・サーティフィケーションでは、原料収穫から製造工程まで全体を審査し、トレーサビリティを確保いたします。消費者の環境意識向上により、認証取得は競争力強化の重要な要素となっています。専門的な審査員によるスムーズな認証取得をサポートし、貴社のブランド価値向上に貢献いたします。
リサイクルやオーガニック認証の詳細とお見積りはこちら

 

なぜ今、アパレル業界でサステナブル認証が重要なのか?


サステナブル認証の取得は、単なるトレンド対応ではありません。企業の存続と成長に不可欠な要素となりつつあります。その背景にある3つの理由を解説します。


消費者の意識変化とサステナビリティへの要求の高まり

現代の消費者は、製品の価格やデザインだけでなく、その背景にあるストーリー、つまり「どこで、誰が、どのように作ったのか」を重視するようになっています。特にZ世代を中心とした若い世代では、環境や社会に配慮した製品を積極的に選ぶ傾向が強く、企業のサステナビリティへの姿勢が購買決定の重要な要因となっています。


信頼性の証明とグリーンウォッシュの回避

「環境にやさしい」といった曖昧な表現だけでは、もはや消費者の信頼を得ることはできません。これは「グリーンウォッシュ(実態が伴わないのに、環境配慮を装うこと)」と見なされるリスクがあります。
GRSやGOTSといった国際的に認められた第三者認証は、企業の主張が客観的な事実であることを証明し、真のサステナブル企業としての信頼性を構築するための強力なツールです。


欧州の環境規制強化とサプライチェーンへの影響

特に欧州では、サステナビリティに関する法規制が急速に強化されています。製品のライフサイクル全体での環境負荷情報の開示義務や、リサイクル素材の使用率の目標設定などが進んでおり、これらの規制はEU域外のサプライヤーにも影響を及ぼします。
国際基準に準拠した認証を取得しておくことは、将来的なビジネスリスクを回避し、グローバル市場での競争力を維持するために不可欠です。


リサイクルやオーガニック原料の信頼性を示す「テキスタイルエクスチェンジ認証」


Textile Exchangeは、繊維業界のサステナビリティを推進する国際的な非営利団体です。同団体が管理する代表的な3つの認証(GRS, RCS, OCS)について解説します。


GRS認証(グローバル・リサイクルド・スタンダード)とは?

GRS認証は、リサイクル含有物のトレーサビリティを確保し、生産における環境的・社会的な側面も考慮した基準です。
最終製品に20%以上のリサイクル原料が含まれている必要があり、化学物質管理、水・エネルギー使用、労働者の権利保護といった厳しい要件をクリアしなければなりません。リサイクル製品における信頼性の高い認証と言えます。


RCS認証(リサイクルド・クレーム・スタンダード)とは?

RCS認証は、リサイクル原料が最終製品に至るまでのサプライチェーンを追跡し、その含有量を証明することに特化した認証です。
GRSと異なり、環境的・社会的な要件は含まれません。まずはリサイクル原料に関わる製品の取り扱いを始めたい企業にとって、導入しやすい認証です。


OCS認証(オーガニック・コンテント・スタンダード)とは?

OCS認証は、オーガニック原料が最終製品に至るまでのサプライチェーンを追跡し、その含有量を証明するための基準です。
RCSのオーガニック版と考えると分かりやすいでしょう。こちらも環境・社会的要件は含まれず、あくまでオーガニック原料のトレーサビリティ確保を目的としています。


オーガニック繊維の世界基準「GOTS認証」


GOTS(Global Organic Textile Standard)は、オーガニックテキスタイルの分野で信頼性の高い世界基準として知られています。


GOTS認証の厳格な基準:環境的要件

GOTSは、原料となる繊維がオーガニックであることに加え、製品が消費者に届くまでのすべての製造工程(紡績、織布、染色、加工など)において、厳しい環境基準が定められています。
例えば、有害な重金属やホルムアルデヒドなどの使用を禁止し、排水処理に関する厳格な要件を設けています。


GOTS認証の厳格な基準:社会的要件

環境面だけでなく、製造に関わるすべての労働者の権利を守るための社会的基準もGOTSの重要な柱です。強制労働や児童労働の禁止、安全で衛生的な労働環境、差別の禁止など、国際労働機関(ILO)が定める核となる条約に基づいた要件を満たす必要があります。


OCS認証とGOTS認証の違いは?より高い信頼性を求めるなら

OCSがオーガニック原料の「含有量」を証明するのに対し、GOTSは原料から最終製品までの「全工程」における環境・社会的な正しさを証明します。
消費者に「安心・安全なオーガニック製品」というメッセージを最高レベルで伝えたいのであれば、GOTS認証の取得が有効です。
オーガニック原材料を使用した製品には、GOTS認証やOCS認証などの国際的なオーガニック認証が効果的です。インターテック・サーティフィケーションでは、原料収穫から製造工程まで全体を審査し、トレーサビリティを確保いたします。消費者の環境意識向上により、認証取得は競争力強化の重要な要素となっています。専門的な審査員によるスムーズな認証取得をサポートし、貴社のブランド価値向上に貢献いたします。
リサイクルやオーガニック認証の詳細とお見積りはこちら


サステナブルな綿花生産を推進する「BCI」


BCI(Better Cotton Initiative)は、これまでの認証とは少し異なるアプローチで、綿花栽培のサステナビリティ向上を目指すプログラムです。


BCI(ベター・コットン・イニシアティブ)のマスバランス方式とは

BCIの最大の特徴は「マスバランス(物質収支)」と呼ばれる管理方式です。これは、サプライチェーンの途中でBCIコットン(ベター・コットン)と通常のコットンが混ざることを許容する仕組みです。
最終製品に物理的にベター・コットンが含まれているかは問いませんが、企業が購入したベター・コットンの総量と、最終製品に使用された綿花の総量がシステム上で管理されます。これにより、農家への支援とサプライチェーンの効率性を両立させています。


BCIは「認証」ではない?その仕組みを正しく理解する

厳密には、BCIは個別の製品を「認証」する制度ではなく、サステナブルな綿花生産を支援する企業が参加する「プログラム」です。従来は製品に「BCI」のロゴマークを付けることはできませんでしたが、新しいChain of Custody Standard v1.1により、小売業者とブランドメンバーは認証を受けることで対象製品にBetter Cotton Labelを使用できるようになりました。
そのため、製品に「BCI」のロゴマークを付けることは原則できません。企業としてのCSR活動やサステナビリティレポートなどで、ベター・コットンの調達を支援していることをアピールするために活用されます。


オーガニックコットンとの違いと使い分け

オーガニックコットン(GOTS/OCS)が農薬や化学肥料を一切使わない農法で栽培されるのに対し、BCIは農薬の適正使用や削減を推奨しており、必ずしもオーガニックではありません。 
  ● GOTS/OCS: 製品単位での付加価値を高め、消費者に直接アピールしたい場合。 
  ● BCI: 企業全体として、綿花産業のサステナビリティ向上に貢献する姿勢を示したい場合。 
このように目的によって使い分けることが重要です。


リサイクルやオーガニック認証を取得する事業上のメリットとは


リサイクルやオーガニック認証取得にはコストと労力がかかりますが、それを上回る経営上のメリットが期待できます。


サプライチェーンの透明性確保とトレーサビリティ向上

認証取得のプロセスを通じて、自社のサプライチェーンを詳細に把握する必要が出てきます。
これにより、これまで見えにくかった各工程のリスクを可視化し、トレーサビリティを格向上させることができます。これは、品質管理の強化やCSR調達の推進にも直結します。


ブランド価値の向上と競合他社との差別化

第三者認証は、企業のサステナビリティへの取り組みを客観的に証明する際に、有効な手段です。認証マークを製品やウェブサイトに表示することで、環境意識の高い消費者から選ばれるブランドとなり、価格競争に陥らない差別化要因を築くことができます。


Z世代をはじめとする新しい顧客層への訴求力強化

これからの消費の主役となるZ世代は、企業の倫理的な姿勢や環境への配慮を非常に重視します。特にZ世代にとって、サステナブル認証はブランドを選ぶ際の重要な判断基準の一つです。認証を取得することは、未来の優良顧客を獲得するための重要な投資と言えるでしょう。


認証取得の前に知るべき注意点と乗り越え方


メリットだけでなく、現実的な課題を理解し、事前に対策を講じることが成功の鍵です。


認証取得と維持に費用と管理工数がかかる

認証の取得には申請料や審査料が、維持には毎年の更新審査料がかかります。また、トレーサビリティを担保するための書類管理や、従業員へのトレーニングなど、継続的な管理工数も発生します。これらのコストを事前に予算化し、社内の推進体制を整えることが重要です。


認証に対応したサプライチェーン構築が難しい

自社だけでなく、製品の製造に関わる上流のサプライヤー(紡績、織布、染色、縫製など)も同様の認証を取得している必要があります。国によっては認証取得済みのサプライヤーが限られる場合もあり、新たなパートナーを探す手間や、既存の取引先に対応を依頼する交渉が必要になることがあります。


認証製品の取扱いに際してのコストメリット

認証原料は通常の原料よりも高価であり、また、管理を分けるために最低生産ロットが大きくなる傾向があります。これにより、製品の原価や最小発注単位に影響が出る可能性があります。企画段階でコストシミュレーションを綿密に行い、販売価格や生産計画に反映させることが重要です。


まとめ


本記事では、GRS、GOTS、BCIをはじめとする主要なテキスタイル認証の違いと、その選び方や取得プロセスについて解説しました。各認証には独自の目的と基準があり、自社のブランド戦略に合致したものを選ぶことが成功の鍵となります。
リサイクル原材料を使用した製品には、GRSやRCS認証が、オーガニック原材料を使用した製品には、GOTS認証やOCS認証などの国際的なオーガニック認証が効果的です。インターテック・サーティフィケーションでは、原料収穫から製造工程まで全体を審査し、トレーサビリティを確保いたします。消費者の環境意識向上により、認証取得は競争力強化の重要な要素となっています。専門的な審査員によるスムーズな認証取得をサポートし、貴社のブランド価値向上に貢献いたします。
リサイクルやオーガニック認証の詳細とお見積りはこちら