《新連載》『ゆらぐ時代と、つなぐ力』
(1) ISOとともに未来を見つめて
2026/01/20Intertek News(91号)ゆらぐ時代と、つなぐ力
品質・環境・労働安全衛生マネジメントシステム主任審査員/IRCA認定 品質・環境・労働安全衛生マネジメントシステム主任講師 船井 勲 Isao Funai
変化する時代に対応するヒントとして、引き続き環境ISOに加え、サステナビリティやESG経営など、未来を見据えたテーマを幅広くお届けしてまいります。
はじめに
品質、環境、労働安全衛生の主任審査員およびIRCA主任講師をしております船井 勲と申します。今回からこの連載を担当することになりました。前執筆者の郷古氏とは、講師や審査でもご一緒し、ISOマネジメントシステム規格への思いや姿勢を共有してまいりました。
今後はその思いを引き継ぎ、新しい視点から本連載をお届けしていきたいと思います。
環境への原点
私は子どもの頃、石弘之氏著書『地球環境報告』を読み、地球温暖化や森林破壊、資源の枯渇といった課題に関心を持ち、将来環境に関わる仕事をしたいという希望が芽生えました。あれから30年、当時の懸念が現実となりつつあります。企業はパリ協定他、国際的な枠組や、環境と調和した取り組みが求められています。
国際潮流と企業経営の現在地
国連の「持続可能な開発目標(SDGs)報告2025年6月」によれば、日本は167か国中19位とされ、依然として課題が多い状況です。特に「ジェンダー平等」や「気候変動対策」等が最低ランクで、世界全体でも169のターゲットのうち、「順調に進んでいる(on track)」と「ある程度進んでいる(fair progress)」を合わせても約35%にとどまっています。2030年目標の達成に取り組み強化が必要です。
この流れは、2024年の「国連未来サミット」で採択された「未来のための協定」を継承し、今年も各国・国際機関が行動を進めています。資金調達の強化、気候変動対策の加速、AIの国際管理など、将来への責任を果たす取り組みが続いています。こうした潮流は企業経営にも影響を与え、ESG(環境・社会・ガバナンス)を軽視する企業は市場から選ばれない時代を迎えています。
ISOが導くつなぐ力
このような国際的な動きに早くから着目していたのが、前任が執筆した連載や審査活動、セミナーでのコメントでした。前任は、コロナ禍が企業のリスク管理の脆弱さを浮き彫りにし、ISO 14001が持つ「リスクと機会の特定」「ライフサイクル思考」「社会的責任への対応」の重要性を説きました。人と自然の距離が近づきすぎたことで生じた感染症、分断されたサプライチェーン、希少資源をめぐる紛争や人権問題、そして社会の不安定化―これらが示したのは、環境と経営課題が密接に結びついている現実です。ISO 9001、ISO 45001を含め本業と一体化すれば経営を支える有効なツールになると改めて認識させられます。
私もその視点を引き継ぎ、ISO 9001、ISO 14001、ISO 45001を、企業の持続可能性を支える仕組みとして再確認したいと思います。品質維持・向上、環境配慮、安全な職場提供―この統合的な運用が、企業の「つなぐ力」になると信じています。
ともに考える未来
新連載では、前任の「危機からの学び」を踏まえ、ISOの視点で今を見つめ、未来へつなぐ考え方を皆さまと共有していきたいと思います。揺らぐ時代だからこそ、理念と実践、社会責任と企業のあり方、そしてSDGsに示される現在と未来をつなぐ力が求められています。ISOは私たちが歩むべき道を照らす羅針盤であり続けると認識しています。