連載(53) SDGsとは何か

2017/01/16Intertek News(55号)

環境主任審査員 郷古 宣昭 Nobuaki Goko

 今、企業が取り組むべきESG(環境・社会・ガバナンス) 課題として注目を集めているSDGs(持続可能な開発目標)について解説します。

1. 先行した「ミレニアム開発目標(MDGs)」の成果

 ミレニアム開発目標(MDGs)は、2000年に開催された国連ミレニアムサミットで提唱され、2002年ヨハネスブルグサミットで承認された「発展途上国における貧困撲滅、保健・教育分野の改善」に関する8項目のグローバルアクション/目標であり、2015年に達成を目指したものです。
 2015年の国連報告でMDGsの取組み結果として、「貧困」「飲料水」では大きく目標を上回る成果を得ていて、「乳幼児死亡率」「妊産婦の健康」「エイズ・マラリアの蔓延防止」は大きな成果はあったが目標達成には至らず、「初等教育の普及」「女性の地位向上」は向上が認められるが目標にはほど遠く、「環境の改善」に至っては森林資源・海洋資源の減少で悪化しているとしています。更には、先進国でも格差の拡大による新たな貧困問題が生じていることなどが指摘されています。

2. 持続可能な開発目標(SDGs)
 MDGsに代わる新たな取組みとして、MDGsの枠組みを継承しつつ貧困撲滅のために取り組むべき課題をより広く捉えて、発展途上国にも先進国にも共通する17項目の開発目標が設定され、地球サミット(1992年)の20年後に開催された持続可能な開発会議(「リオ+20」)で「持続可能な開発のための2030年目標(SDGs)」として採択されました。
 17項目の内容は付表に、その要約を示しました。次世代に持続すべき3つの側面(経済、社会、環境)が取り上げられていることがわかります。17項目の大目標の下に169項目のターゲット(個別目標)が設定され、それらを世界の共通目標として達成に向けて取り組んでいくことになります。事業者、政府、NGO、市民(消費者)、それぞれが取り組むことが求められます。どのように取り組むかは別の機会に述べることにしますが、企業行動指針「SDGコンパス」がGRI・国連グローバルコンパクト・WEBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)から発行されていて、WEBサイトからダウンロードできます(環境省: http://www.env.go.jp/earth/sdgs/index.html )。ご興味のある方はご覧ください。

 この原稿を書いている2016年11月4日、パリ協定発効のニュースが入ってきました。この予想を上回る早期発効が何を意味するのか次回解説します。