連載(6) ISO14001の2004版はこのように変わる

2005/04/15Intertek News(8号)

環境主任審査員 郷古 宣昭 Nobuaki Goko

 今回は特別編として11月15日に発行された改訂ISO14001:2004について解説します。

 改訂の目的は、①要求事項の明確化及び②ISO9001との両立性への歩み寄りであって、新たに追加したり、削除された項目はないとしております。事実、これまでのムーディー・インターナショナル・サーティフィケーション(MIC)の規格解釈と今回の改訂で明確になった内容とではなんら異なるものはありません。このことはMICが、翻訳された日本語の字句解釈ではなく、本来の意味するところをMICの国際ネットワークを通して追求してきた結果です。

 しかしながら、今回の改訂は本規格の重要な部分であいまいになりつつある要求事項を改めて強調することによって、安易な解釈を許さないという強い姿勢を示したものと思われます。ここで改めて主要な改正ポイントを確認しておきましょう。以下の3点が重要です。これらはISO14001に求められている重要な部分です。

(1)適用範囲の明確化

4.1の一般要求事項で「組織がその環境マネジメントシステムの適用範囲を定めて文書化すること」を要求することにより、認証範囲内の活動・製品・サービスの全てが環境マネジメントシステムの対象に含まれることを強調しています。つまり、認証範囲内の特定の部門、エリアまたは施設を意図的にはずすことは出来ないというわけです。これは当然のことであり、MICの審査では従前から認証範囲内の安易な除外を認めておりません。

(2)環境側面を特定する対象の拡大

96年版で「活動、製品またはサービス」とあったところが「活動、製品及びサービス」となり、活動だけでなく製品・サービスについても考慮することが強調されました。製品とは、たとえば、建築業における建物そのもの、土木建設業の成果物である道路や河川の護岸がもたらす環境影響を意味します。また、「組織が管理できる環境側面及び影響を及ぼしうる環境側面」ということで直接影響と間接影響との両者を考慮することを求め、これも選択を認めない要求事項になっております。
これらの「製品」「間接影響」を考慮するということは製品のライフサイクルやサプライチェーンマネジメントを明確にするということであり、今日事業者に求められている社会的責任に沿ったものと言えます。MICの審査では、これまでも「製品の環境側面」、「間接影響」については重要な確認事項になっておりますが、今後も厳格に評価していくことになります。

(3)法的及びその他の要求事項遵守の強化

「組織に適用される法規及びその他の要求事項をどのように環境側面に適用するかを決定」することが求められます。MICの審査では、これまで、法規制等の個々の要求事項がどの部署のどの設備・作業に適用されるのかを明確にするよう求めてきましたが、それと同じと見てよいでしょう。
また、4.5.1 監視及び測定の第3パラグラフである法規制の遵守の定期的確認が「4.5.2 遵守の評価」として独立条項に格上げされました。これは法規制等の遵守の確認が重要であることのメッセージでもあります。

 以上が主要な改訂ポイントですが、マイナーな改訂は広範囲にわたっております。上記の主要な改訂ポイントのみならず、改訂規格に適合しているかシステム全体について確認することが必要です。

 次回は「法的及びその他の要求事項」についてお話します。