PPWR(包装・包装廃棄物規則)とは?EU輸出企業向けの要件と対応策

2026/11/04サステナビリティ

PPWR(包装・包装廃棄物規則、規則(EU)2025/40)は、EU市場に上市される包装とEU域内で発生する包装廃棄物を幅広く対象とし、包装廃棄物の削減、再使用、リサイクル、再生材利用などを促進する規則です。2025年2月11日に発効し、2026年8月12日から原則として適用されています。要件ごとに個別の適用日があり、関連する委任法・実施法の発効時期によって適用開始日が後になる場合もあります。本記事では主要要件と実務上の確認事項を整理します。

 

PPWR(包装・包装廃棄物規則)とは?


PPWR(包装・包装廃棄物規則)とは
PPWRは、包装のライフサイクル全体を対象に、環境上の持続可能性、表示、拡大生産者責任、包装廃棄物の発生抑制、再使用・詰め替え、回収・処理・リサイクルなどの要件を定める包括的なEU規則です。従来の包装・包装廃棄物指令を、加盟国で原則として直接適用される規則に置き換え、EU共通の枠組みを整備しました。


全加盟国に直接適用される

PPWRの規定は原則として各加盟国で直接適用されます。ただし、罰則、執行、拡大生産者責任(EPR)の登録、回収制度などには加盟国ごとの制度・運用が関係します。罰則は第68条に基づき各加盟国が定めるため、販売先国の国内制度も確認する必要があります。


包装廃棄物を減らし循環を促す

PPWRは、包装と包装廃棄物の量を抑え、一次原材料の使用を減らし、循環型経済への移行を促進することを目的とします。包装には、製品の保護や安全性等の機能を維持しながら重量と体積を必要最小限にする設計が段階的に求められ、再使用、詰め替え、リサイクル、再生材利用も促進されます。


EU市場の全包装を対象にする

PPWRは、使用材料や発生源を問わず、EU市場に上市される包装とEU域内で発生する包装廃棄物を幅広く対象とします。対象該当性は第3条の定義と附属書Iに基づき判断します。BtoC向けだけでなく、BtoBの輸送用段ボール、パレット、緩衝材なども対象となり得ますが、具体的な義務は包装区分、用途、商流、経済事業者としての役割によって異なります。
参考:輸出先国における容器・包装に関する規制|農林水産省

 

いつから?適用開始のスケジュール


PPWRは2025年2月11日に発効し、個別の適用時期が定められた規定を除き、2026年8月12日から原則として適用されています。リサイクル可能性、再生材含有率、包装最小化、空隙率、ラベル表示などには、それぞれ異なる適用条件があります。
スケジュール 適用される主な内容
2026年8月12日 個別の適用時期が定められた規定を除き、原則適用。重金属・食品接触包装のPFAS制限、適合性評価、技術文書、EU適合宣言書等への対応が重要
2030年以降 リサイクル可能な設計、再生材含有率、包装最小化、空隙率等が、個別の適用日や関連する委任法・実施法に従って段階的に適用
2040年 一部の再生材含有率や再使用目標等が引き上げられる


2026年より段階的に適用される

2026年8月12日からは、鉛・カドミウム・水銀・六価クロムの含有制限、食品接触包装のPFAS制限、適合性評価、技術文書、EU適合宣言書等が重要な対応事項です。一方、リサイクル可能性、再生プラスチック最低含有率、包装最小化、空隙率などは、2030年以降、個別の適用日や関連する委任法・実施法に従って段階的に適用されます。


猶予期間を見据えて準備を急ぐ

PPWRはすでに原則適用されており、2030年までは単なる待機期間ではありません。現在適用される要件へ対応しながら、将来適用されるリサイクル可能性、再生材、包装最小化等に備える必要があります。素材変更、設計見直し、性能確認、サプライヤーデータ収集には準備を要するため、早期にギャップを把握することが重要です。
猶予期間のうちに現行包装とのギャップを洗い出しておきたい方に向けて、インターテック・サーティフィケーションではPPWRへの対応サービスをご案内しています。対象となる包装や販売形態、サプライチェーンを確認したうえで、現在の包装仕様や表示、証拠書類を評価し、対応上のギャップと優先課題を特定するサービスです。関連する包装規制の研修やアドバイザリーにも対応していますので、下記よりご覧ください。
参考:非財務情報開示の義務化に対応:CSRD・DD・EUDR・欧州電池規則・PPWR・CBAMなどの対応やサステナビリティ報告書の第三者保証

 

企業が遵守すべき4つの主要要件


企業が遵守すべき4つの主要要件
PPWRでは、加盟国に対する包装廃棄物削減目標に加え、経済事業者にもリサイクル可能性、再生材含有率、包装最小化、空隙率、表示などの要件が段階的に課されます。ここでは特に重要な4つの柱を整理します。
主要要件 求められる対応
リサイクル可能設計 2030年1月1日または関連委任法の発効から24か月後のいずれか遅い日から設計要件を適用。大規模リサイクル要件は2035年以降、別条件で適用
再生材の配合 対象となるプラスチック包装に、種類・形態ごとの最低再生材含有率を適用。一定の例外あり
空きスペースの最小化 グループ包装、輸送包装、電子商取引包装は、2030年1月1日または関連実施法発効から3年後のいずれか遅い日から、空隙率を原則50%以下とする
分別用ラベルの貼付 2028年8月12日または関連実施法発効から24か月後のいずれか遅い日から、材料組成に関する統一ラベルを表示


包装をリサイクル可能設計にする

マテリアルリサイクル向けの設計要件は、2030年1月1日または関連する委任法の発効から24か月後のいずれか遅い日から適用されます。大規模リサイクル要件は、2035年1月1日または関連する実施法の発効から5年後のいずれか遅い日から適用されます。モノマテリアル化は有力な選択肢ですが一律の義務ではなく、複合素材も分離可能性や選別・リサイクル工程への適合性等を踏まえて評価されます。
参考:EUのPPWR(包装・包装廃棄物規則)の概要|欧州連合日本政府代表部


プラ包装へ再生材を配合する

一定のプラスチック包装には、ポストコンシューマー・プラスチック廃棄物由来の再生材最低含有率が設定されます。含有率は包装の種類・形態に応じて異なり、原則として製造工場・年単位の平均で算定されます。医薬品、乳幼児用食品、医療機器、危険物輸送などには一定の例外があります。サプライヤー証明等により、由来、含有率、対象品番、算定方法を追跡できる体制が必要です。


空きスペースを削り最小化する

包装の最小化については、2030年1月1日までに、機能性を確保するために必要な最小限まで重量と体積を削減する設計が求められます。グループ包装、輸送包装、電子商取引包装は、2030年1月1日または計算方法を定める実施法の発効から3年後のいずれか遅い日から、空隙率を原則50%以下とする要件が適用されます。上げ底や不要な二重壁・層は認められず、緩衝材で満たされた空間も原則として空隙に含まれますが、製品保護上必要な空間は今後の計算方法も確認する必要があります。


分別を促すラベルを貼付する

材料組成に関する統一ラベルは、2028年8月12日または関連する実施法の発効から24か月後のいずれか遅い日から適用されます。ラベルはピクトグラムに基づき、容易に理解できることが求められます。包装の種類・用途によって適用関係や例外が異なるため、第12条と関連する実施法を対象包装ごとに確認する必要があります。
統一ラベルに加え、消費者の分別を促すQRコード等の標準化されたオープンなデジタルデータキャリアを任意で付すことができます。直接表示が困難な場合には、まとめ包装への表示や電子的コードを利用できる場合があります。表示方法は今後の実施法にも左右されるため、包装面、包装IDとデータの紐付け、販売先国の言語を準備することが重要です。
要件への対応には、包装仕様だけでなく、技術文書、EU適合宣言書、材料情報、サプライヤー証明等の整備が必要です。PPWRは第三者認証や第三者試験を一律に義務付けていません。インタ-テックグループでは、規制要件の整理、ギャップ分析、材料・化学物質に関する試験等について、対象範囲を確認のうえご相談を承ります。
 

 

適合に向け企業が取るべき対応策


適合に向け企業が取るべき対応策
PPWRの要求を満たし、EU市場へのアクセスを維持するためには、包装設計の見直しに加えて、法規制の順守状況を継続的に管理する仕組みづくりまでを一連のステップとして進める必要があります。
対応策のステップ 具体的なアクション
適合性の評価 包装単位、材質、重量・体積、空隙率、商流、経済事業者の役割を整理し、適用要件とのギャップを評価する
代替素材の検討 モノマテリアル化、分離可能性の改善、証拠を備えた再生材への切り替え等を検討・評価する
順守体制の構築 ISO 14001等を活用し、順守義務、適用時期、証拠、責任者、見直し時期を継続管理する
専門機関への依頼 規制要件の整理、ギャップ分析、材料試験等について、必要な範囲に応じて専門機関の支援を検討する


自社包装の適合性を評価する

まずEU市場に上市している包装を包装単位ごとに特定し、材質構成、重量・体積、空隙率、包装区分、用途、経済事業者の役割、販売先国を整理して、PPWR要件とのギャップを評価します。材料組成、再生材含有率、有害物質等のデータ取得には、調達・設計・品質保証部門とサプライヤーの連携が重要です。


基準に合う代替素材を検討する

不適合リスクがある包装は、保護性能と規制要求を両立できる代替案を検討します。モノマテリアル化は選択肢の一つであり、複合素材の分離可能性や既存工程への適合性も評価します。再生プラスチックへ切り替える場合は証拠を確保し、対象品番と含有率を追跡します。素材変更後は、防湿性、強度、輸送耐久性、長期保管性能、安定供給、コストへの影響を確認します。


環境マネジメントシステムで順守義務を管理する

PPWRはISO 14001の認証取得を要求していません。一方、ISO 14001を運用する企業は、順守義務管理の枠組みを活用し、PPWRの適用要件、対応状況、証拠、責任者、見直し時期を管理できます。法規制台帳等へ反映し、定期的に順守評価を行うことで、段階的な変更を管理しやすくなります。
包装設計や資材調達の判断基準を社内規程として明文化し、変更管理、教育、内部監査、是正処置へつなげることも有効です。ただし、ISO 14001認証は、個々の包装がPPWRに適合していることや、法規制リストが完全であることを保証するものではありません。
【関連記事】ISO14001【環境マネジメントシステム】ISO認証機関・審査


専門機関へ評価支援を依頼する

社内だけで判断が難しい場合は、規制要件の整理、包装仕様のギャップ分析、材料試験など、必要な支援内容に応じて専門機関の活用を検討できます。PPWRが第三者認証や第三者試験を一律に義務付けているわけではなく、最終的な適合性評価とEU適合宣言書の作成責任はPPWR上の製造事業者が負います。また、ISO 14001の第三者審査はマネジメントシステムを確認するもので、個々の包装のPPWR適合を証明するものではありません。
【関連記事】審査の特徴・実績

 

まとめ


PPWRは、EU市場に上市される包装とEU域内で発生する包装廃棄物を幅広く対象とする規則です。2026年8月12日から原則適用され、有害物質制限、適合性評価、技術文書、EU適合宣言書等への対応がすでに重要になっています。リサイクル可能性、再生材含有率、包装最小化、空隙率などは、2030年以降、個別の適用日と関連する委任法・実施法に従って段階的に適用されます。
具体的な義務は、包装の種類・用途、商流、経済事業者としての役割、販売先国によって異なります。企業は、包装単位、材料・重量データ、サプライヤー証拠、技術文書、EU適合宣言書を整備し、委任法、実施法、欧州委員会ガイダンスを継続的に確認する必要があります。
インタ-テックグループでは、PPWRへの対応に向けて、包装・販売形態・サプライチェーンを踏まえた規制要件評価とギャップ分析、包装設計・材料構成やリサイクル可能性・包装最小化に関する情報の確認、包装材の試験・検証、EU加盟国ごとの生産者区分・登録・報告・回収対応の整理、研修・アドバイザリーなどをご提案しています。対象製品、包装、販売地域によって必要な対応は異なるため、個別の状況を確認したうえで支援範囲をご案内します。PPWRを含むEU規制対応について相談したい企業様は、下記ページからお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を構成するものではありません。制度の詳細は今後の委任法、実施法、ガイダンス等により具体化・更新される可能性があるため、実際の対応では最新の法令・公式情報をご確認ください。