『ゆらぐ時代と、つなぐ力』(4)
人を『育てる力』- ESG経営を支えるISOの価値
2026/10/09Intertek News(94号)ゆらぐ時代と、つなぐ力
品質・環境・労働安全衛生マネジメントシステム主任審査員/IRCA認定 品質・環境・労働安全衛生マネジメントシステム主任講師 船井 勲 Isao Funai
これまで「ゆらぐ時代と、つなぐ力」をテーマに、ISOが企業経営に果たす役割について述べてきました。今回は、企業価値を高める「人を育てる力」と、ESG経営を支えるISOの役割について考えます。
社会の変化とISO 2015年版が示した価値創造
リーマンショック以降、企業経営の考え方は大量生産・大量消費を前提とした成長モデルから、社会課題を踏まえた価値創造へと転換が進み、ESG投資やSDGsへの対応が企業評価に影響を与える時代となりました。
その流れの中で改訂されたのが、ISO 14001:2015です。環境活動を単独で管理し環境負荷を低減するだけでなく、社会課題への対応を通じて企業価値を高めるという考え方です。
ISO 14001:2026とESG経営へのつながり
約10年が経過し、ISO 14001:2026が発行されました。その内容は新たな要求事項を大幅に追加するものではなく、旧版で示された考え方を、現在の社会環境に合わせてより明確化するものです。気候変動、生物多様性、資源循環、サプライチェーンなど、企業を取り巻く課題が複雑化する中で、改めて2015年版が求めた「価値の創造」と「ESGに配慮した活動」の重要性が問われています。
以前、前執筆者の郷古氏が本誌vol.53 (2016年7月号 P6)、本誌vol.55(2017年1月号 P6)などで紹介されたESG投資、SDGs、SDGコンパスといった考え方は、企業が社会課題と向き合い、持続可能な成長を実現する方向性を示していました。10年を経た現在、読み返してみると、その考え方はISO 14001:2026 が示す方向性と深くつながっていることが分かります。
以前、前執筆者の郷古氏が本誌vol.53 (2016年7月号 P6)、本誌vol.55(2017年1月号 P6)などで紹介されたESG投資、SDGs、SDGコンパスといった考え方は、企業が社会課題と向き合い、持続可能な成長を実現する方向性を示していました。10年を経た現在、読み返してみると、その考え方はISO 14001:2026 が示す方向性と深くつながっていることが分かります。
ESG・SDGsを実現するISOの実践力
ESG投資やSDGsで企業に求められているのは、気候変動や資源問題、人材育成などの社会課題を自社の経営課題として捉え、具体的な行動へ落とし込み、継続的に改善することです。
ISOは、その実践を支える基盤です。目標を達成するためには、まず必要な力量を持った人材を育成し、教育訓練によって確実に業務を遂行できる状態をつくることが重要です。そして、その活動が有効であるかを内部監査で確認し、マネジメントレビューによって経営層が評価・判断し、次の改善へつなげていきます。
仕事の精度を高める仕組みづくりと人材育成
本連載の第2回、第3回でも述べたように、ヒューマンエラーは人が関わる以上、完全になくすことはできません。重要なのは、個人を責めることではなく、発生した事象を組織の学びとして活用することであり、その中核となるのが是正処置です(第2回、第3回参照)。
業務精度を高めるためには、SOP(標準作業手順書)の作り込みと実践的な教育訓練が欠かせません。SOPは単なる手順書ではなく、経験者の判断や注意点を反映し、誰が実施しても一定の品質を確保できる仕組みです。教育も知識を伝えるだけではなく、実際に作業を確実に遂行できる力量を身に付けることが重要です。
ISOは、「真の原因を追究すること」「仕事の精度を高めること」「人を育てること」を通じて、ESG経営を実践し、企業価値を高めるための経営のツールです。社会課題への対応と持続的成長が求められる時代において、ISOは経営と現場、人と社会、そして現在と未来をつなぐ羅針盤であり続けると考えています。
業務精度を高めるためには、SOP(標準作業手順書)の作り込みと実践的な教育訓練が欠かせません。SOPは単なる手順書ではなく、経験者の判断や注意点を反映し、誰が実施しても一定の品質を確保できる仕組みです。教育も知識を伝えるだけではなく、実際に作業を確実に遂行できる力量を身に付けることが重要です。
ISOは、「真の原因を追究すること」「仕事の精度を高めること」「人を育てること」を通じて、ESG経営を実践し、企業価値を高めるための経営のツールです。社会課題への対応と持続的成長が求められる時代において、ISOは経営と現場、人と社会、そして現在と未来をつなぐ羅針盤であり続けると考えています。